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M&A Feed

2006年8月 1日 (火)

M&A基礎知識(5)

M&Aの買い手のメリットとして、規模の拡大、
マーケットシェアの確保、競争の排除、事業の
多角化が図れます。

7月23日に王子製紙が北越製紙に対し、買収提案を
行い、敵対的買収を画策中ですが、そのメリットは、

1)北越が主力とする新潟工場は、コスト競争力が
  国内最高水準といわれ、東日本に工場が少ない
  王子にとって大きな魅力がある。

2)新潟工場を手中に収めると、紙の需要の六割を
  占める関東圏に、効率的に供給することができる。

3)北越は設備増強で増産する計画があり、王子は
  その増産を阻止できれば、製品の値崩れを防ぐ
  ことができる。

というのがあげられます。

王子の売上規模は北越の8倍程度で、今回の買収が
うまくいっても規模は飛躍的には拡大しませんが、
日本の製紙会社は王子と日本製紙グループが1兆2千
億円台で売上げを競っていますので、王子の業界での
売上げトップが安泰化するのも確かです。

規模の拡大によって対外的な信用が増すだけでなく、
工場や事務所や研究所の統廃合や、新製品開発の費用も
2社でやるより減らすことができコストダウンにも
役立ちます。

2006年7月27日 (木)

M&A基礎知識(4)

M&Aのメリットのひとつに、ブランドや
取引先などの無形資産を手に入れられる
という点があります。

会社の価値はバランスシート状に記載
されている価値の他に、帳簿上には
でてこない無形資産があります。

会社を買収した場合には、実際に取得
価格や減価償却費等を差し引いた簿価
以外に、無形資産を購入することが
できます。

企業や製品に対するブランドイメージは
長年にわたって築き上げられたもので、
一朝一夕に築き上げることはできません。

取引先の開拓や特許やノウハウ、技術に
してもそれなりのものを作り上げるには
5年から10年の時間がかかりますが、
それらをまとめて買い取ることができます。

通常、会社の価値は簿価以上の価値があり
ますが、会社買収した時に買取価格と
簿価との差は、暖簾として購入した会社
では無形資産として計上されます。

2006年7月24日 (月)

M&A基礎知識(3)

M&Aの売り手サイドの論理は分かりましたが、
買い手にはどんなメリットがあるのでしょうか?

まず、会社を買うメリットは、時間が買える点
です。

いくらお金があっても事業を1から立ち上げるのは
労力がかかりますし、その事業で新規に顧客を
獲得するのは大変です。

企画立案して、事業のマーケティングを行い、
従業員を雇用し、社員教育をして、ノウハウを
蓄積して、事務所開設、広告、販売等々、
どんな事業を立ち上げるのにも最低1年位の
時間と多大な労力がかかります。

現在はスピードが要求されるので、製品企画
してその製造・販売に1年もかけていたのでは
当初企画した製品が出来上がった頃にはその
商品は寿命が終わってしまっているかもしれず、
商売チャンスを逃してしまうかもしれません。

会社(部門)買収であれば、既に今までその
分野で営業を行ってきた戦力や経営資源が
ありますので、M&A直後から売り上げが見込め
ます。

特にM&Aでは今までに被買収会社が蓄積した
顧客を引き継げるので、1から顧客開拓して
のスタートと比べて大変有利です。また
今まで事業をやってきているので、売り上げや
経費管理も容易にできます。

これがM&Aの第一のメリットです。

2006年7月16日 (日)

M&A基礎知識(2)

中小企業オーナーは日本の社会の高齢化に伴い、
経営者の方の年齢層も高くなっています。

ご家族の中に現在やられている事業を身内で継いで
くれる方がおられる場合はいいのですが、おられない
場合はいろんな問題があります。

通常、経営者の方が個人保証をして銀行から融資を
受けている場合が多いですが、仮に番頭さんに会社を
告いでもらう場合はその個人補償の継続が難しい
場合が出てきます。

また、未上場の会社価値を評価した場合、番頭さんが
その会社の株を買うことができるかどうかという
問題が出てきます。

後継者が身内にいた場合でも、すでにいい仕事に
ついていて、家業を進んで継いでくれる人が
いなかったり、経済的理由よりあえて中小企業の
オーナーになるのを拒んだり、身内の力量が不足
していて、後継者に値しない場合も多いです。

後継者がいないからといって、会社清算を選ぶ
選択肢もありますが、見かけ上、財務諸表では
利益が出ているからといって簡単に清算するのも
難しい場合があります。

それは在庫は、20%くらいでしか売れなかったり、
設備も第三者にとっては二束三文、建物は取り崩しで
0になったり、元の状況に戻すのに多額の費用が
かかったりして、実際の価値は帳面上の価値に遠く
及ばなくなり、負債を返しきれない場合が多かったり
するからです。

そういう場合にはM&Aで、事業を売ってしまえば、
設備・建物・従業員は新たな会社で継続してもらえ、
手取りとして清算するよりも有利となる場合が多いです。

会社を売却する場合には、いい状態のときでないと
高く売れませんので、まだまだ引退の時期が先と
思われるオーナーの場合でも3年先、5年先を見据えて、
対策を立てることが重要です。

2006年7月11日 (火)

M&Aの基礎知識(1)

M&A(企業の合併・買収)はどれくらい行われて
いるのでしょうか?

2005年の上場企業の大きなM&Aは公表されていますが、
中小企業の場合はあまり公表されておりません。

2006年のBloomberg L.P作成の日本公表案件によると
2005年のM&A案件は1775件となっていますが、中小
企業を含めると概算5000件のM&Aが行われていると
推測されます。

日本で設立登記されている会社が270万社で、そのうち、
まともに運営されている会社が200万社としても、
まだまだM&Aを利用している企業は少ないと言えます。

またM&Aのイメージとしては、ホリエモンのLivedoor
や村上ファンドでだいぶ世間にも浸透してきましたが、
フジテレビへの敵対的買収や、一定の株式を取得後
高値で買い戻させるグリーンメールと言った手法を
使っており、両者が違法行為を犯して逮捕された為に
M&Aに対して悪い印象をもたれている方も多いと思います。

ただ、M&A全体の件数から見て敵対的買収(hostile
take over)は、日本の場合は0.2%、世界の場合でも
0.5%と非常に少なく、M&Aのほとんどは、友好的買収
(friendly take over)が行われています。

6月30日付朝日新聞の記事によると、総務省の国勢調査
(05年10月現在)の抽出速報結果によると、日本の
65歳以上の高齢者は2682万人で、総人口に占める
割合は21%に達しているそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060630-00000015-maip-soci

日本の会社の98%は中小企業と言われていますが、
その経営者も高齢化しており、日本の会社200万社の
うち、社長が60歳以上で後継者がいない会社は推定
80万社はあると言われています。

今後、後継者難で事業継承等がうまくいかない
オーナーの選択肢として、M&Aを使って会社を売却
するオプションも増えていくことでしょう。

この日本社会の高齢化の進展によってM&Aを利用する
潜在的な需要の大きさを分かって頂けるのではないか
と思います。

2006年6月15日 (木)

インサイダー取引

村上ファンドの代表である村上氏がインサイダー
取引の疑いで逮捕されましたが、これはどのような
法律で、罰金はどれくらいなのでしょうか?

インサイダー取引は、証券取引法第166条などで、
禁止されており、違反すると3年以下の懲役もしくは
300万円以下の罰金、得た利益は没収、法人に対して
は3億円以下の罰金となります。

村上氏が有罪となった場合は懲役は堪えるでしょうが、
300万円の罰金は屁とも思わないでしょう。但し、
会社ぐるみの犯罪とになった場合、信用問題もあり、
投資家が投資を引く可能性も高く村上ファンドの存続は
難しいでしょう。

それではインサイダー取引では誰がどのような事項を
犯した場合に該当するのでしょうか?

上場会社の役員や従業員など【会社関係者】と定義
される人が、職務に関して、株価に大きな影響を
与えるような【重要事実】を知り、それが公表される
前に有価証券を売買することが該当するとされています。

実際には、【会社関係者】とは、役員や社員の他に、
取引先の社員や顧問弁護士、公認会計士等の直接的な
関係者と、その会社関係者から内部情報を聞いた
間接的な関係者(家族、友人等)も含まれます。

それではどのようなことが、【重要事実】に該当する
のでしょうか?

【重要事実】とは、株式の発行、自己株式の取得、
株式分割、合併、会社の分割、事業の譲渡、新製品
又は技術の企業化、業務提携、業績予想の修正、
その他会社の運営や業務に係わる重要な事実で
投資判断に著しい影響を及ぼすもとのなっています。

この基準で言うと、インサイダー取引に関係する人は
意外と多いことが分かります。

ちょっと法案作成が後手に回った感がありますが、
6月7日の参院本会議で証券取引法を抜本改正する
金融商品取引法案は可決し、成立しています。
(=2006/06/08付 西日本新聞朝刊=)

その内容はどのようなものでしょうか?

改正された金融商品取引法の施行は来年夏の見通しで、
罰則は、最高で懲役3年を同5年に引き上げられて
います。
 
また、インサイダー取引以外の罰則も強化し、
風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載は、商法の
特別背任罪などと同じように「懲役10年以下または
罰金1000万円以下」にしています。

株式公開買い付けのルールや大量保有報告書の開示も
改善され、実態が分かりにくかった投資ファンドに
関しては、運営主体を財務局に登録させ、金融当局が
運用内容を検査できるような内容となっています。

その他、上場企業の議決権のある株式を、市場内外の
取引を組み合わせて大量取得する場合は、株式公開
買い付けを義務付けるなど、株買い集めの動きを
一般投資家にも分かりやすくしています。

今回の改正によって、投資家にとっては手厚く保護
されることになり、市場の透明性向上も図れると
思いますが、インサイダー取引で逮捕されないように、
【会社関係者】は十分に注意しましょう!!

2006年6月12日 (月)

村上ファンドについて

今回の村上ファンドの代表村上世彰氏の一件はインサイダ
ー取引疑惑ですが、それはライブドアの株式取得が証券
取引法に違反しているのではないかというものです。

証取法では発行済み株式数の5%以上の大量買い付け
などの未公表情報を知った者が、その公表前に株を
購入することをインサイダー取引として禁止しています。

ただ証取法では、大量買い付けの明確な認識がないまま、
株を購入した過失犯は、罪に問えないことになっています。

村上氏の逮捕前の弁明では、この過失を強調している
ので、今後検察とどのような係争となっていくかは
よく分かりませんが、ライブドア関連で全ての証拠を
検察が握っているので、村上氏が勝つことは難しいと
思われます。

村上氏はほぼ私と同じ年ですが、あれだけの資金を動か
せたということではすごい人だった気がします。ただ、
M&Aのプロ中のプロと自任しながら、インサイダー
取引疑惑で捕まるのはプロとは言えず、堀江被告同様、
生きるのを急ぎすぎたと思われます。

村上ファンドの手法は、基本的には割安に評価されて
いる会社の株式を買って、その会社の資産を売却して
利ざやを稼ぐ(その手前で会社資産を売らせたり配当
させたりしている)もので、M&A業界では初歩的な
手法です。

日本の株価は企業の実際の価値よりも安く取引されている
会社もあり、そのような会社がM&Aの標的になる訳です。

自分では経営能力がないので、会社を買収してしまうまで
には至らず、その意味では日本の会社体系の中での
日本的なM&A改革者と言えそうです。

特に日本企業の中では、同族経営のまま一族が企業経営
している場合が多く、第三者的に見て非常に非効率なこと
(豊富な現預金を持ちながら、投資もせずに銀行に預金
をしていたり、配当金として株主にも還元しないような
資本効率の悪いこと)をしている場合もありますので、
そのような会社にはいい刺激となったでしょう。

ただ、その手法が短期的に株価を吊り上げたり配当を
受けた後に投資家が集まってきたところで高値で売り
抜けてしまうというようなことを繰り返していたので、
倫理的にも問題でハゲタカ・ファンドと呼ばれても
仕方がないような気もします。

私が見ている限り、日本でのM&Aは2007年以降、
時価評価の高い米国の会社が自社の株と日本の上場会社
を株式交換で買収できるようになると、一気に加速
するような気がします。

そのような状況になった時に、日本企業はどのように
対抗するのか、対抗できるのかが今回の事件を背景に
法整備としても審議され、企業としても対応を考えて
おくべきでしょう。

今回の村上氏の1件で、M&Aの全てが悪いという
ようなイメージが作られることを危惧します。

M&Aは、本来的には会社合併と買収であって、
既存事業の拡大や事業の多角化が短期にできるもので、
1+1=3となるようなシナジー効果を目指して行う
もので、自社が単独で事業進出する場合に比べ、既に
ある会社を買収することで時間を買うメリットが
あります。

今後、中小企業の事業継承も含め、日本企業が合併や
買収によって企業を強くしたり、国際競争に対抗できる
体力を持てるようにする手法としてのM&Aは拡大して
いくことでしょう。

アメリカでは1980年代にジャンクボンドの帝王である、
マイク・ミルケンが、ジャンクボンドを発行してLBO
(レバレッジド・バイアウト)で米国経済再生に貢献
しましたが、今後日本でも、ジャンクボンドを発行して
被買収企業の資産を担保に会社買収をするような人が
出てくることも十分予想されます。

2006年4月 7日 (金)

人的資産の評価

現状の財務諸表は企業の実力を本当に正しく反映して
いるのでしょうか?

例えば、利益で会社を判断する場合、1億円の利益と
500万円の利益を出している会社を比べると、
明らかに前者の方がいい会社と思われますが、仮に
前者が売上高10億円の会社、後者が売上高が5000億円の
会社だとしたら、後者の方が大きくていい会社である
とも言えます。

今の財務諸表では、単純に両者を比較するのは難しい
かもしれませんが、財務諸表に、その期末にいる従業員
に支払った総給料額を明記するようにすれば、その会社
の人的資産価値が数字に出てくると思います。

事業をするのに、人・物・金が重要と言われていますが、
バランスシートには、物・金の情報は出てきますが、
一番重要と言われる”人”の情報は一切出てきません。

その会社の資産としてどのような人がいて、どのような
能力がある人がいるか、会社はその人に対してどれだけ
お金を支払ってきたかというようなことは、どこを
見てもわかりません。

それらの情報が会社のバランスシートにはが表記されて
いないので、会社の本当の資産価値、新しい人を雇うのが
安いのか、それとも今まで会社で教育し会社の仕事を
覚えてきた人を継続して使った方がいいのかの判断が
できません。

人事部の人が単純にその会社に働いてきた人と、新しく
入ってくる人の給料額だけを単純に比較して、今いる人を
辞めさせた方がいいと結論付けると誤ります。

仮に平均年収600万円の人が20年会社に勤めていた
とすると、その会社はその人に対して1億2000万円の
投資してきたことになり、それは会社の人的資産として
計上されるべきです。

最初の例で言うと、前者の会社の期末人数が10名、
後者の会社の期末人数が5000名として、前者の
従業員の平均年数が5年で、その間の平均給料が
400万円で、後者の従業員の平均年数が25年で、
その間の平均給料が600万円とすると、人的資産
価値は前者が2億円に対して、後者は7500億円と
いうことになり、人的資産価値がクリアーになります。

個々の会社がこの資産価値を算出するのは大変で、総務
担当者の負担は増えますが、やろうと思えばできますので、
これらの過去の投資も考えて、会社の資産価値・人事
政策をとることが重要ではないかと思います。

私が提起している問題点は、財務諸表にはその期の会社
の資産価値を表すものなのに、一番大切な現在いる
従業員の価値が反映されていないのではないかということ
です。

これから外国企業が株式交換で日本の会社を買収する
ようになりますので、会社買収や合併が増えることが
予想されますが、この辺りの数字を把握し、分析し、
それを経営活動や投資に活用できないと、大きな誤りを
引き起こすことになります。

この辺りの計数化とその把握がグローバル社会の鍵と
なると思います。

2006年4月 5日 (水)

2005年度の日本のM&A動向

4月5日の神戸新聞で、2005年度企業M&A
(企業の合併・買収)件数で、33都道府県で
増加(レコフ調べ)という記事がありました。

M&A件数は
1位 東京  2942件、
2位 大阪  473件
3位 愛知  186件、
4位 神奈川 172件、
5位 北海道 120件
6位 福岡  117件
7位 兵庫  84件
9位 埼玉  61件
9位 広島  61件

特徴としては、全国的に増えていることで
全体のM&A件数は前年比24%増、金額は
13兆4788億円で過去最高となっています。

全国的な広がりを見せているのは、地方銀行の
不良債権処理の再建方法としてM&Aが活用されて
いること。

今後、地域銀行や外資も地方での事業拡大を
狙っているとのこと。

地域銀行の2005年9月末の不良債権残高が
10兆円弱あるので、まだまだM&Aが増えそうな
気配です。

業績回復によって企業が金余りになっている
こともあり、攻めに転じた企業が、事業拡大
の手段としてM&Aの活用を始めているそうです。

私は東証一部の日系企業の初代駐在員として
アメリカで14年駐在していた際に企業の買い手と
して1989年より10数件以上のM&Aに係わってきて、
そのうち1社をMBO(マネージメント・バイ・アウト)
で買収、1社を買収し売却した経験があります。

このブログでは、過去の経験をもとにいろんな
M&A案件を解説していきたいと思います。